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カテキヨースタッフより!

2022年11月10日

フランス文学を専攻するにはフランス語が不可欠である ~小澤先生~

私が所有する約三十のフランス語を組み合わせて
何とか自己紹介ができないか、私は孤独な闘いを始めました。
というのは、隣の男子学生は二十くらいしかフランス語を知らないので、
アドバイスを求めても無駄なのは明らかだったからです。

組み合わせを勉強した人は、三十のものを並べると莫大な数になるということを
ご存じでしょうが、私もそれに挑み始めたのです。
しかし、フランス、スタンダール、ジャポン(水に落ちたのではなく日本という
意味です)といった私が知っている単語を総動員して並べ変えても、自己紹介の
文を作ることは困難でした。

文を作るには動詞が必要ですが、私には動詞の在庫がほとんどなかったのです。
相当な時間を要すると思われた私の作業は、まもなく終わってしまいました。

私の所有する単語では自己紹介用の文を一つも作れなかったのです。
隣の学生は私より悩んでいるようでした。
この場合、悩みは単語力に反比例します。
単語力から、彼の悩みは私の1.5倍だったと思われます。
もっとも、組み合わせに要する時間は単語数に比例するので、彼の悪戦苦闘は
私より早く終わってしまったようでした。

つまり、話を簡単にすると、私たちには作戦の変更が必要だったのです。


困難な状況を切り抜けるには冷静な判断力が不可欠で、それにはまず
周囲を観察しなければなりません。
何か手があるはずだ、と様子を見ていた私はあることに気づきました。
自己紹介は幸い前の席の学生から始まったのですが、授業時間の半分を過ぎても
まだ半分以上の学生が無傷で残っていたのです。

自分たちの番がくる前に授業が終了するかもしれない、私たちはその可能性に
賭けることにしました。
というより、それしか方法がなかったのです。
つまり、私たちは「悪戦苦闘」作戦から、あの名高い「棚からぼた餅」作戦に
切りかえ、何もしないでごほうびを待つことにしたのです。

自己紹介は微妙なスピードで進んでいきました。
フランスに短期留学をしたことがあるらしい女子学生が長々とその話をすると、
「ダイトーリョー」「バクチウチー」などと声援を送りたくなるのですが、
目立つことをして、はい次はあなたなどということにならないように、私たちは
ひたすら息をひそめていました。

中には数十秒で終わってしまうろくでもない男子学生がいて、
「タコー、海に沈んでろー」などと、神様も同意されるに違いない心の叫びが
出たりしました。
こうして私たちは、手に汗握る極限の九十分を余儀なくされたのです。

「悪戦苦闘」作戦から「棚からぼた餅」作戦に変更した私たちの運命は、
次回明らかになります。

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